【非リアの日常】スーツという名の重苦しいコスプレ

スーツ?

スーツ1


それはたぶん、俺にとって少なくともトップ3には入る「相応しくない格好」だろう。

……嫌いだ。俺はこの格好が大嫌いだ。



※今回は長いお話です。


どっかの専門学校に通う俺は
「リクルートスーツ着用必須のイベント」とやらに参加しなければならなくなった。

あぁそうなの。

その話を聞いた時は「その程度」にしか思っていなかった。
……がしかし、それって要するに 「俺がスーツを着て、電車に乗って、会場まで歩いていく」
つまりそういう事なのだと気づくのに時間が掛かりすぎた。

イベント前日、半年前に買っておいたスーツを試しに着てみる。
サイズは大丈夫だ、問題ない……いや、問題あった。

ネクタイが結べない。

しかしこの程度の問題なら大丈夫だ。今の時代「ネット」と呼ばれる便利なものがあるのさ!
2時間くらいネクタイを結ぶ練習をしていると、なんとかそれっぽく結べるようになった。

イベント当日。
念のためいつもより1時間くらい早く起きる。眠すぎる。
朝飯とか身支度を終わらせた後、早速スーツを着る。

………………
あれ?今から俺はこいつを着て……………………

ネクタイを結ぶのに30分くらい掛かったが、そんな事はどうでも良かった。
革靴を履いて、玄関のドアを開く。
そして感じる「早朝の空気」……この感じ。俺は嫌いだ。
なんというか、やたらと冷たいんだよ。俺には相応しくない。
いや、そんな事より、なんだこの感じは。

重苦しい。

スーツが重苦しい。ワイシャツの第一ボタンまで止めているせいか?…いや違う。
このスーツが醸し出すオーラが重苦しいんだ。

なんだこの「着てるだけでテンションが下がっていく」ような感覚は…ッ!!
しばらく歩いていると、俺のテンションを下げている理由がまだある事に気づいた。

…………すげぇ歩きにくいっす

「革靴」この黒光りしている偉そうな靴……ッ!!歩きにくいぞ!!
駅まで掛かる時間は、約15分。その道のりがここまで長く感じたのが何時以来だろうか。

道のりを長く感じさせるのは、靴のせいだけではなかった。
……何というべきだろうか、

まるでコスプレをして歩いてるこの感じ。

…………もう疲れてきた。すげぇ嫌だ。この格好でいるのが。
なんとか駅にまで辿り着いた。
いつもより30分は早いが、結構人はいるようだ(※6:30くらい)

俺は別にコスプレなんてしてねぇんだからな!

何故かそう心の中で叫ぶ俺。更に気分が悪くなってきた。
電車が来たぜ。電車……ゴクリ。スーツ姿ってだけで何故か緊張するぜ……!

いつもより30分早い電車に乗ったのに、やはり乗車人数に大差は無かった(京○線)

……ッ!!しまった!
つい緊張のあまり気づかなかったが、女性専用車両じゃねぇかよここ!
どんだけキメーんだよ!満員になって動けなくなる前にさっさと車両を移動。危なかったぜ…。

とりあえず気を取り直して、いつものようにライトノベルを読み始まる。
ちなみに読んでいるラノベは「僕は友達が少ない」の最新刊7巻だぜ!
どうでもいいっすね。しかしスーツ姿だと何故か集中して読めないぜ。

新○駅でJ○山○線に軽く道に迷いながらも乗り込む事に成功した俺は
更なる満員電車を乗り越え、目的地に最も近い駅に降りる事が出来た。

開始時間より1時間も前だ……道に迷わなければ余裕で間に合うだろう良かった……。

ちなみに集合場所には数ヶ月前にも一度来た事があった。
そのせいか俺は少々油断していたようだ。

……地図のとおりの道。ここで間違いないはずだ。
あれ?なんかやたらと狭い道だな。前来た時こんな道だったっけ……。
地味な不安が俺を襲う。


暫く一本道を歩いていると、道の先にいた警官が俺のほうをジロジロ見てきた。
…なんだ?俺に一目惚れでもしたのだろうか。

「ここ工事中なので通行止めです。向うから通ってください」

あ?
んなワケねぇだろ?この先イベント会場なんですけど?

「……はぁ」

近くに地図らしき看板があったので、それを見てみた。
まさか俺……道間違えてる?

警官に聞いてみた。
……すると。

スーツ2

「はぁ↑いィ↑?」

……もしかしてお怒りですか?なんかものすげぇ不機嫌そうなんですけどこのお方(苦笑)
どうやら俺の声が聞き取れなかったらしい。

とりあえず地図を指差して「ここに行きたいんですけど…」と吃りながら言ってみる。

「ココですけど↓」

ここ(今いる場所)でしたか。道は間違えてなかった!…………んなわけあるか!!
ここどう見ても明らかに別の場所だよ!この前来た時と全然違う建物があるよ!
いや、似てる名前の建物が2件あるし……たぶん道を間違えたんだろうな。
警官のほうに目をやると「さっさと消えろ」みたいなオーラを醸し出している気がした。

……なんでこう都会の警官ってのは、どいつもこいつも超無愛想なんだ……?
俺悲しくなっちゃうよ。

いやしかし、まだ開始時間よりも50分くらい前だ。
なんかこの建物、観光用っぽいし少し見てくか……?
駐車場をグルりと回ってみた。うん、何も無い。

道を戻ると、さっきの警官からの冷たい目線を浴びながら俺は来た道を戻っていった。
戻る際、なぜかスーツ姿のおっさん達3人くらいが反対側から歩いてきていた。
なんだこいつら、俺をすっごい見てるよ!集団で!

来た道を戻ると……さっきまでは無かった看板が置いてあった。

スーツ3

そこには、例のイベントの案内が書いてあった。
……さっき俺がここに来た時には無かったぞ。おい。



――なんとか俺は会場までに辿り着く事が出来た。
周りは、スーツを着た専門学生でいっぱい♪
真っ黒だ。この日で始めて、俺はやっと安心できた。良かった!なんか知らんけど良かった!

時間になると会場が開き集団で中に入っていく。ズドドド……
友達のいない俺はもちろん一人さ!

どうやらお偉いさん方が「就活」について語っていくようだ。

何々?なんか難しい言葉ばかり使っていて意味が全然分からん。
就職難?面接?なにそれ?まぁいいや、どうせ「俺には関係ない話」なんだろうし。

俺に全く関係のない別世界の話なんて聞いてても意味がないし
とりあえず配られた紙に落書きを始める。

スーツ4
※その時に描いた落書き。

ふぅ……。なんだ?今度は別の人が出てきたぞ?何々?
「挨拶」の重要性?「敬語」の重要性?

アイサツ?ケイゴ?

…………プッ
何いってんだこの人は?

そんな「ハイレベルな話」をされたって俺には何の意味もないぜ?
アイサツだ?ケイゴだ?……俺はそれ以前に

喋れるか、喋れないか。

っていうレベルにいるんだからよォ!!
ああ!分かった!これは「普通に声が出るハイレベルの人達向け」のお話なんだろ?
分かってますよ!ええ分かってますとも!俺には関係ないっすよねぇ!!
(※俺は極度の吃音症です)

……さて、落書きを続行するか。

落書きに集中してると、前席の人の髪にキモい虫が張り付いている事に気がついた。
しかもなんと!!女の子の綺麗な髪の毛!!

スーツ5

貴様。虫。おい。てめぇ。
……ムカつくぜ、なんで「俺よりキモい貴様」が女の子の髪の毛をなでなでしてるわけ?
イラつくんですけど?ああ?俺さっきから機嫌悪いんですよねぇええ!!

ああ!俺にも女の子の綺麗な髪なでなでさせろ!!ズルいぞ!!

とりあえず俺は、勇気を出して虫を追い払う事にした。使う武器はシャーペン。
………大丈夫だ。冷静になればイケる。
俺の前にいる女子よ!今から救ってやるぜ!!だから俺に惚れてくれよ?
シャーペンを構える俺。……ふう、緊張するぜ。

スーツ6

このシャーペンが……もしも……
ミスってこの女子の頭に直接当たったりしたら……俺、間違いなく変人扱いされるじゃねぇか……
いや、普通に「頭に虫ついてましたよ」って小声で言えばいんだけどな?
俺は喋れない人なんですから!!

………こええ。
イケるか?イケるのか?…………
なんか「隣の人からの変な視線」を感じるのは気のせいなんだろう。
ってかお前も手伝えよ!女の子の髪にキモい虫が付いてんだぞ!?一大事じゃねぇか!!

てぇい!

虫が飛んだ。
だが、再び同じ場所に戻った。

!?……なんていう奴だ。
どんだけ女の子の髪をクンカクンカしてたいんだよ!
気に入らねぇぜ……。

その後2回くらい虫に攻撃を仕掛けてみるが、どれもハズれた。
分かった。もういい。もうどうにでもな~れ!


イベントは終了した。午後0時。
今日の戦いも遂に終わった。いや、終わってない。まだ帰りの電車があった。
重く苦しいスーツでの最後の戦い。慣れない革靴で歩きすぎて足が痛い。

帰りの電車の中でラノベの続きを読もうとしたが、やはり集中出来なかった。


…………。

あの虫どうなったんだろうな……。
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